狭小建築の安藤から世界のANDOへ
コンクリート打ち放しと光と影をあやつる設計で、住吉の長屋を代表とする個人住宅や小規模テナントビル等が評価を得て、日本を代表する建築家となった。特に神戸・北野坂周辺や大阪・心斎橋では、初期からの安藤作品を数多く発見する事が出来る。
祖母と幼少期から長い年月を過ごした生家での厳しい住環境や、中学生時代、増築工事で天井をはがしたときに差し込んだ光が、普段見慣れた薄暗い室内を一変させたことに衝撃を受けた経験が、住吉の長屋や光の教会といった後の代表作へと色濃く反映されている。
コンクリートやガラス、鉄などの近代的な素材と幾何学的な構成を多用した至って人工的な空間を作り、光とそこから生まれる影、水や風を意識的に取り入れることで、自然から得られる当たり前の要素をより印象的に感じさせる。
対比的な要素を用いることで、自然と建築との秩序や対話を試みる手法が、海外では日本の伝統や禅などの文化と紐付けて取り上げられることが多く、国内での「コンクリート建築家」というような一般的な評価とは隔たりを見せている。
世界的な名声を得た今日でも小規模な個人住宅を常に手がけているが、公共施設をはじめとする大規模プロジェクトが仕事の大半を占め、美術館やホテル、駅舎など多くの作品を身近に体感することができるようになったことは安藤ファンにとって魅力的なことだろう。
ただ、社会的弱者に目を向けるような設計(バリアフリー、ユニバーサルデザイン)といったものとは無縁で、しばしば批判や苦情のターゲットとなるようなトラブルも起こっている。
近年、美しい景観を損ねないよう地中に埋設された地中美術館(香川県・直島)や、淡路夢舞台(兵庫県・淡路島)のように年月を掛けて建物が緑に覆われるような建築、海の森プロジェクトや桜の通り抜け事業など、視覚的な面が重視されているものの環境対策にも積極的に取り組んでいる。
コンクリート、光と影、そして自然とも共生する建築を数多く設計して欲しい。
略歴/受賞歴
1941年
大阪府大阪市港区生まれ
1969年
安藤忠雄建築研究所を設立
1979年
第31回日本建築学会賞受賞 (住吉の長屋)
1995年
1995年度プリツカー賞受賞
2005年
東京大学特別栄誉教授
安藤忠雄文化財団設立
UIAゴールドメダル受賞
2006年
東京オリンピック招致委-グランドデザイン
桜の会・平成の通り抜け実行委員長
2007年
海の森プロジェクト 事業委員長
2010年
2010年度文化勲章受賞
2011年
東日本大震災復興構想会議 議長代理
桃柿育英会 東日本大震災遺児育英資金設立
2012年
新国立競技場 国際デザインコンペ審査委員長
2020年
2025年「大阪・関西万博」シニアアドバイザー
主要作品 + リンク集
世界中に広がる安藤作品の公式HPへのリンク (建物に関係のないHPや、情報の少ないものは除外しています。)1954年頃~
1969年
旧国鉄大阪駅周辺再開発計画 [大阪市]
1972年
加藤邸"ゲリラ"[大阪市]※計画案
1973年
1975年
山口邸 双生館 [兵庫県宝塚市]
1976年
1977年
ROSE GARDEN [兵庫県神戸市]
北野アレイ [兵庫県神戸市]
北野アレイ [兵庫県神戸市]
1978年
大楠邸 [東京都世田谷区]
ガラスブロックの家 石原邸 [大阪府]
ガラスブロックの家 石原邸 [大阪府]
1981年
1982年
大淀のアトリエ 2期(増築)
1983年
六甲の集合住宅 I [兵庫県神戸市]
1984年
フェスティバル※現ドン・キホーテ国際通り店 [沖縄県]
1985年
1986年
BIGI 3rd [大阪市中央区]
太陽セメント [大阪市]
城戸崎邸 [東京都]
大淀のアトリエ 3期(増築)
OXY北野 [兵庫県神戸市]
リランズゲート [兵庫県神戸市]
細工谷の家 [大阪市]
田中山荘 [山梨県]
太陽セメント [大阪市]
城戸崎邸 [東京都]
大淀のアトリエ 3期(増築)
OXY北野 [兵庫県神戸市]
リランズゲート [兵庫県神戸市]
細工谷の家 [大阪市]
田中山荘 [山梨県]
1987年
1988年
1989年
1991年
1992年
セビリア万国博覧会日本政府館[スペイン]
大手前女子大学アートセンター
熊本県立装飾古墳館 [熊本県]
大手前女子大学アートセンター
熊本県立装飾古墳館 [熊本県]
- 直島コンテンポラリーアートミュージアム [香川県] (cc) Todd Lappin
1993年
1994年
1995年
ユネスコ 本部 瞑想の空間 [フランス]
長良川国際会議場 [岐阜県岐阜市]
大山崎山荘美術館 [京都府大山崎町]
長良川国際会議場 [岐阜県岐阜市]
大山崎山荘美術館 [京都府大山崎町]
- 直島コンテンポラリーアートミュージアム"オーバル"[香川県] (cc) Todd Lappin
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
- クラーク美術館 ストーンヒルセンター [アメリカ] (cc) Massachusetts Office
- フォートワース現代美術館 [アメリカ] (cc) Thomas Hawk
石川県西田幾多郎記念哲学館 [石川県]
四国村ギャラリー [香川県高松市]
2003年
2004年
- ランゲン美術館 [ドイツ] (cc)Anıl Öztaş
"安藤ストリート" [東京都調布市]
絵本美術館 まどのそとのそのまたむこう [福島県いわき市]
- 地中美術館 [香川県直島町] (cc) Todd Lappin
2005年
2006年
-
表参道ヒルズ [東京都渋谷区]
(同潤会青山アパート建替え) (cc) Naoya Fujii
Morimoto NYC (レストラン森本)
パラッツオ・グラッシ再生計画 [イタリア]
坂の上の雲ミュージアム [愛媛県松山市]
さくら広場 [千葉県]
游庵 [東京都]
2007年
2008年
2009年
2010年
靱公園の住宅 [大阪市西区]
RF 神戸コロッケ南京町店
安藤忠雄×佐藤卓 [神戸市]
李禹煥美術館 [香川県]
清春芸術村 光の美術館 [山梨県北杜市]
ストーン・スカルプチャー・ミュージアム [ドイツ]
RF 神戸コロッケ南京町店
安藤忠雄×佐藤卓 [神戸市]
李禹煥美術館 [香川県]
清春芸術村 光の美術館 [山梨県北杜市]
ストーン・スカルプチャー・ミュージアム [ドイツ]
2011年
- シャトー・ラ・コスト アートセンター&木造パビリオン [フランス] ©BEN BAC
- Silence 沈黙*インスタレーション [イギリス・ロンドン] (cc)Free Man
モンテレイの住宅 [メキシコ]
2012年
2013年
2014年
おかやま信用金庫内山下支店 [岡山県]
21世紀キリスト教会広尾チャペル [東京都]
上海オペラハウス 上海建築文化センター [中国上海市]
21世紀キリスト教会広尾チャペル [東京都]
上海オペラハウス 上海建築文化センター [中国上海市]
- Casa Wabi [メキシコ] (cc) Nicole ollin
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
THE SHINMONZEN [京都府]
HE Art Museum 和美術館 [中国] THE TOKYO TOILET 神宮通公園トイレ [東京都]
黒田泰蔵ギャラリー 水の展示室 [静岡県]
W OSAKA HOTEL ※デザイン監修 [大阪府]
HE Art Museum 和美術館 [中国] THE TOKYO TOILET 神宮通公園トイレ [東京都]
黒田泰蔵ギャラリー 水の展示室 [静岡県]
W OSAKA HOTEL ※デザイン監修 [大阪府]
2021年
こども本の森 神戸 [兵庫県]
ヴァレーギャラリー [香川県]
丸福樓(まるふくろう *旧任天堂本社ビルコンバージョン計画 新館監修 [京都府]
(仮称)箕面船場駅周辺整備 基本構想 [大阪府]
こども本の森 遠野 [岩手県]
菊池建設新東京支店ビル [東京都]
ヴァレーギャラリー [香川県]
丸福樓(まるふくろう *旧任天堂本社ビルコンバージョン計画 新館監修 [京都府]
(仮称)箕面船場駅周辺整備 基本構想 [大阪府]
こども本の森 遠野 [岩手県]
菊池建設新東京支店ビル [東京都]
2022年
2023年
2024年
進行中のその他のプロジェクト