
EXPO2025 フィリピンパビリオン
Philippines Pavilion - Carlo Calma
東ゲートから大屋根リングをくぐり、まず目に入るのがエンパワーリングゾーンに建つフィリピンパビリオン "WOVEN(ウーブン)"。
フランス館、アメリカ館と人気パビリオンの並ぶ一角にありながら、ダイナミックに反り上がった大きな庇が強烈なインパクトを放つ。
設計はフィリピンで活躍する建築家、フアン・カルロ・カルマ。



印象的な大きな庇。リング越しにもその姿が目を引く。
建物は、パビリオンのテーマである"WOVEN(織る)"を核に、ラタンと手織り布の外装でフィリピンの伝統的な手仕事を建築スケールへ拡張。CLT+張弦梁の大スパン、足場の恒常利用で再利用性と効率を両立し、外部との多層的な交流空間を生む。
手編みのラタンと手織りのファブリックパネルにより外装を完全に覆い、フィリピンの優れた家具デザインに長く用いられてきた素材を全面に押し出している。


外装のラタン・ファブリックパネルは、木造の建物を建設する際に組まれた足場をファサード構造体の間に挿入。

外装を拡張したベンチは建物と一体感があり、居心地もよい。
展示のテーマは「自然・文化・コミュニティを"織る"」。来場者は織物の森を回遊しながら、光・音・触感・映像を通じてフィリピン各地の物語に没入する。


外装・内部に、フィリピン国内18地域ののコミュニティを代表する手織物を中心とした200点超の作品群を展示。館内にはショップや軽食カウンター、フィリピンの伝統的マッサージも体験できる。
フィリピンは隣のアメリカ、さらに隣のフランスに比べ、日本では身近な情報が少ない国かもしれない。それでも3館の中で最も目を奪われるのはこのパビリオン。秀逸なデザインが伝統と文化への入口となる、そんな建築の持つ力を強く実感した。
PAGE INFO
公開日: 2025/9/6
撮影: 2025/4,5,6,7,8
作成者: Hiromitsu Morimoto