
EXPO2025 NTTパビリオン
東ゲートを抜けてすぐの大規模な敷地に立つ、3つの展示棟と1つの事務棟からなる「NTTパビリオン(Natural)」。
「感情を纏う建築」をコンセプトに、パビリオン全体を植物由来の布と糸のような構造体で包み、風や人の動きに呼応して表情を変える。
規模の大きさとは裏腹に軽やかなパビリオンは公園のように開かれた回遊性を意図し、誰もが多くの建築空間を体感することができる。
外装は植物由来PLAの布を用いた31色のパネル(会期前に約18万枚を施工、会期中に子どもたちが約3万枚を結び足す参加型)と約1,500本のカーボンワイヤーで構成。色鮮やかな外装は昼も夜も美しい表情で来場者を楽しませる。




構造は鉄骨造をベースにカーボンファイバーワイヤーを主要テンション部材として採用。無柱かつ大スパンの展示空間を小さな部材断面で実現し、鋼材量の削減にも貢献。日本で初めて主要テンション構造部材にカーボンファイバーを採用した建築となる。


ガイドツアー形式の展示空間の目玉は、LiDAR等で3D点群として計測し3次元LEDに立体表示されるPerfumeのライブ。
床下に多数の振動子を埋設、遠隔の振動や熱気を空間全体で再現し、実際に眼の前でアーティストが実演しているような体験ができる。



NTTパビリオンは、最先端の技術をエンターテインメントへと昇華したプログラムが、年齢を問わず五感を刺激する満足度の高い施設。一方で、建築を目的に訪れるなら、展示棟まわりの外部空間を歩くだけでも見どころは多い。
テンション材から地上に張られた触れると音を奏でる紐や、古い公衆電話のダイヤルを回すと番号に応じた音声物語が流れる「せかいがきこえる伝話」など、子どもたちの興味を引くコンテンツも用意されており、入場予約なしでも様々な体験が楽しめる開かれたパビリオンだった。

作成者: Hiromitsu Morimoto