光の教会+日曜学校(茨木春日丘教会)

Church of the Light (Ibaraki Kasugaoka Church) 1989 / Tadao Ando Tadao Ando | gallery | Lecture Meeting
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大阪府の北部の丘陵地にある、礼拝堂・日曜学校ホール・牧師館の3棟からなるキリスト教プロテスタント系の教会施設。
風の教会(六甲の教会)[兵庫県]、水の教会[北海道]とあわせ、安藤忠雄氏の「教会三部作」として位置づけられているが、ほか2施設が主に結婚式などに利用されるチャペルなのに対し、光の教会は信者の礼拝や葬式などを執り行う純粋な宗教施設となっている。
世界的な建築家である安藤忠雄氏の作品の中でも、最も名の知れた代表作でありアジアをはじめ外国人の見学者が多数を占める。

礼拝堂は、比率1:3の長方形の箱を斜めに貫くように壁が配置されている。
斜めに貫入した壁によって生まれた空間に礼拝堂の入口があり、そこから屋内に入るとこの建物を大きく印象付ける光の十字架を正面に見ることが出来る。
この壁が外光を遮り、十字架から差し込む光をより印象深いものにしている。

平面図

a.礼拝堂

b.日曜学校

1.光の十字架

2.入口

また、足場板で作られた床や礼拝参加者の座る椅子はオイルステインで黒く塗装され、光と影の対比がさらに強調される。
単なる「明るさ」ではなく影により印象付けられる「光」により簡素で清々とした空間が出来上がっている。
これは安藤氏が幼少期からすごした三軒長屋、中宮町の住宅の改築時、屋根を取り払った際に暗い長屋に差し込んだ一筋の光に衝撃を受けたことが大きく影響していると安藤氏自身も語っている。
壁いっぱいまで切り込まれた光の十字架。
薄暗い屋内の黒く塗装されたインテリアが差し込む光を強調する。

建物を斜めに貫く壁により生じたスペースに設けられたエントランス。
当初、取り付けない予定だった十字架部分のガラス。
今も安藤氏はガラスが無いほうがいいと考えている。
建設にあたってはバブル期真っ只中の時代背景や、難しい工事により様々な問題に直面している。
敷地内の豊かな樹木を出来るだけ残しながら建物を配置したことで作業効率は極端に落ち、その分工期も大幅に伸びてしまう。
ただでさえ建設業界の好況により資材が高騰している中で、割り増し状態の人件費もかさんでしまった。

デザイン面を優先することにより、構造面の難題をいくつもクリアする必要も生じている。
十字架は壁の上下左右、一番端の部分にまで切込みを入れるようにデザインされており、そのことで壁が分断され上部の壁は天井からぶら下がっている状態になっている。
そのため、鉄筋の量は増し、大幅な予算オーバーを余儀なくされている。
元々、少ない予算の中で安藤氏に依頼した教会側も資金集めに大変な苦労があっただろう。

建築家が提示したプランは予算面や機能面で施主の納得できるようなものでは無かったことは明白だが、光の十字架をはじめとするこの空間の意図やメッセージを納得してもらえるまで粘り強く交渉した建築家や担当者、この工事を請け負うことを意気に感じ採算度外視で工事にあたった建設会社、戸惑いながらも計画を受け入れた教会、それぞれの熱意により建物は完成した。
礼拝堂完成の11年後に増築された日曜学校ホール。

礼拝堂(左)と日曜学校(右)を分かつように立つ壁。
2010年竣工の牧師館(改築)

情熱を持って難題に立ち向かうことを原動力とし、世界的に評価される作品を数多く生み出している安藤氏は、自ら多くの時間と労力を費やし、それを粘り強く伝える熱意をもって相手を動かし仕事を実現してきた。 そしてなによりも、安藤忠雄氏の建築はそれに関わる多くの人々の理解と協力によって支えられている。
PAGE INFO
公開日: 2015/10/10 撮影: 2015/5

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