EXPO2025 トイレ5(W41)/米澤隆
大屋根リングの外側に建つ大規模公衆トイレ。
「1980年1月1日以降生まれの人」を対象とした公募型プロポーザルで選出された、若手建築家たちによる20施設「休憩所・ギャラリー・展示施設・ポップアップステージ・サテライトスタジオ・トイレ」の一つ。
色とりどりのユニットが積み木のように積み重ねられた子供の遊び場のような空間で、パビリオンかと見紛う。
1段目のユニットはトイレとしての機能を持ち、2段目の三角柱は採光・換気の役割を担う。さらに、複数のユニットをまたぐ形で設置された3段目の大きな三角柱は、雨や日差しを避ける屋根として機能する。
この施設は閉会後、ユニット単位で解体され、公園や広場などに移設可能な構造となっており、その場に必要な数や形に組み替えることができる計画。



万博開幕前から、一部の浅慮な批判により「2億円トイレ」と揶揄された本施設だが、実際には公共トイレの予算の基準を下回る平米単価で計画されており、さらに批判を受けて仕様変更や減額の検討を重ねた結果、予定工事価格は解体費込みで約1.5億円(税抜)まで引き下げられた。結果として本施設はローコスト建築として成立している。
「2億円トイレ」の言葉の印象から、ラグジュアリーなデザイナーズトイレ的なイメージが先行したのか、子供らを中心に「万博で訪れたい施設」としてよく話題に上がっていて、記念撮影する人達の姿も後を絶たない。
設計者の米澤隆氏をはじめ、関係者の方々は途方もない労力を費やすことになってしまったが、根拠に乏しい誹謗に対しても批評として真摯に情報発信されたことと、人々を惹きつける遊び心のあるデザインが功を奏し、万博を訪れる人達が楽しみ、土産話を持ち帰ることの出来る良質なコンテンツになっている。
作成者: Hiromitsu Morimoto