EXPO2025 パブリックアート
EXPO2025大阪・関西万博では、世界各国の伝統や文化を映し出すパビリオンやイベントに加え、国際的アーティストによるパブリックアートが会場各所を彩る。会場の象徴「ミャクミャク」や、SNSで話題の《ID_Lives「こみゃく」》とともに文化の潤いを添えるパブリックアート全21作品を紹介。
Study: 大阪関西国際芸術祭2025(13)

作 者:ミヤケマイ
エリア:静けさの森
場 所:休憩所4 壁面
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休憩所4の広場の脇の棟の壁面に描かれた「水心」。
水運で栄えた大阪の、海の向こうから良きものが来るという信仰を背景に作成された。象徴として蛸(タコ)が選ばれ、八本足は「末広がり」「八方良し」を意味し、訪れる人々や大阪に幸多かれとの願いを込められている。


作 者:ハシグチリンタロウ
エリア:エンパワーリングゾーン
場 所:ウォータープラザマーケットプレイス東 壁面
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anima harmonizerは「たましいを調和し、奏でる者」という意味を込めた造語で、空想上の巨大な音響装置の名称。この装置は塗料から生まれた生命体のように描かれ、そこから「見えない音を見える化する文字」が発生。その文字は固定された形を持たず、生き物のように姿を変えながら空間で響き合い、互いに繋がり、メッセージとともにエネルギーを生み出すという世界観が設定されている。

作 者:COOK
エリア:東ゲートゾーン
場 所:案内所 E52 壁面 シャインハット南隣
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WORLD EXPO 2025は万博をテーマとし、虹でSDGsを表現し多様な色のキャラクターで人種を象徴。中央にミャクミャクを置き、世界の人々と仲良くすることで平和を示す。周囲には各国の花と蝶を描き、美しい未来をイメージ。「WORLD EXPO 2025」の文字で一目で万博デザインとわかる構成になっている。

作 者:森万里子
エリア:東ゲートゾーン
場 所:電力館北
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サイクロイドの軌跡、とりわけ外サイクロイドの外へ増殖するような形を取り入れたアルミ彫刻。複雑で繊細な曲線が絡み合い広がり、パール調の塗料が永遠の回転を思わせる輝きを放つ。宇宙の誕生と消滅が繰り返され始まりも終わりもないという概念を、メビウスの輪を思わせる形態で可視化している。


作 者:田﨑飛鳥
エリア:静けさの森
場 所:休憩所4北側の建物 壁面
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父の勧めで絵を描き始めた田﨑飛鳥氏は、東日本大震災で家と200点の作品を失い制作から遠ざかった。身近な人々の死にも打ちのめされたが、変わりゆく街と向き合い再び筆を執った。《森の道ー青い森》では「色は心が聞いている」と語り、鮮やかな色彩を特徴とする。宮沢賢治『虔十公園林』の杉林を思わせる直立した樹々の深い緑の間を、爽やかな風が吹き抜ける光景が描かれている。



作 者:奥中章人
エリア:セービングゾーン
場 所:ポーランド館 東
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奥中章人の《Cocooner》は、空気・水・太陽の作用を増幅する柔らかな彫刻で、人と世界の関係を体感的に示す。タイトルは「繭にこもる人」を連想させ、作者は人類が人新世という繭に囚われているのではないかと問いかける。旧来の人間中心主義から脱し、宇宙的な存在として羽ばたくことへの願いが込められている。不定期だが内部に入ることも可能。


作 者:檜皮一彦
エリア:セービングゾーン
場 所:ベルギー館 北
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檜皮一彦氏の作品『HIWADROME: type_ark_spec2』は、身体性をテーマに据えたインスタレーションの一環。自身が移動のために使う車いすなどを素材とし、それらを用いた映像やパフォーマンス、インスタレーションを主軸に展開している『HIWADROME』シリーズの一作。モビリティやアクセシビリティ(移動・利用しやすさ)を問いかける実践として、旅やワークショップ、建築への介入などを通じたプロジェクト群(walkingpractice™、TRAIL by walkingpractice™、Electric wheelchair sound generatorなど)も手がけている。

作 者:中島麦
エリア:セービングゾーン
場 所:ウォータープラザマーケットプレイス西 壁面
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中島麦氏の《DIVING to sky water》は、大阪・関西万博会場内のウォータープラザ・マーケットプレイス西の壁面に描かれた壁画(約5×9 m)で、水から生まれ空へ還るイメージを追求している。筆を使わず、重力や物質そのものの流れを活かしたペインティングで、天候や風など会場の空気も作品の一部に取り込み、目に見えない自然の循環を色彩によって可視化しようとしている。

作 者:金氏徹平
エリア:西ゲートゾーン
場 所:WEST郵便局 北
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「Hard Boiled Daydream」は、漫画のモチーフを巨大に拡大して金属にプリントし、現実世界に非日常として再構成した彫刻作品。切断と接続や実在と虚構、2Dと3D、時間軸の交差などを横断しながら、異世界から現れた空想的なオブジェとして自然環境と融和しつつ展開。観る人の知覚や記憶に揺らぎを与える、意識の転移を誘う彫刻。

作 者:BAKIBAKI
エリア:西ゲートゾーン
場 所:西ゲート 西側壁面
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歌川国芳の「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」を原点に、伝統的な和柄と自身が提唱する“BAKI柄”(サブカルチャー由来の現代和柄)を融合させた壁画を夢洲・大阪湾に臨む万博会場に描くことで、浮世絵→漫画→壁画へと受け継がれる大衆芸術の系譜を可視化し、先人から受け継いだ「希望」が来場者との文化交流を通じて新たに開かれることを願うパブリックアート。

作 者:冨長敦也
エリア:西ゲートゾーン
場 所:西ゲートマーケットプレイス 北
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冨長敦也氏の「Love Stone Project EXPO 2025」は、世界五大陸から集めた石をハート形に彫刻して会場に設置し、来場者がやすりで一つひとつ磨き上げることで、国籍や文化を超えて愛と平和の願いを共有する参加型アートプロジェクト。東日本大震災で石と人との関わりを見つめ直した経験を原点に、地球はひとつであるという象徴と、人間が自然の一部であることを体感させる取り組みとして国際的に展開されている。


作 者:SceNEプロジェクト
エリア:フューチャーライフゾーン
場 所:風の広場
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喜界島というサンゴ礁隆起の奇跡の島から採取した巨大なサンゴ石をくり抜いた伝統的水甕「トーニ/フムラー」4点と、島内37集落から集めた60点のサンゴ石を重ねたサウンド&ビジュアル・インスタレーション。会場内には島のリアルタイム音声と映像が流れ、来場者がスマートフォンでQRコードからライブ映像や海水温のリアルタイム変化、過去のデータを視覚的に確認できる仕組みを導入、触覚・聴覚・視覚を通して気候変動や環境問題への共感と地域‐世界のつながりを体感させる展示。科学とアートの融合によって地域固有の記憶を未来へつなぐ実践を展開するプロジェクト。


作 者:DONECY
エリア:フューチャーライフゾーン
場 所:くら寿司 南 トイレL77 南側
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遠景では彫刻の形が明瞭に認識できるが、近づくと鏡面に自分が映り込むことで彫刻が視界から消えるという視覚的錯覚を通じ、「見る」という行為の根源と現実/虚構の境界を揺さぶる鏡面彫刻。光や環境によって表情を変え、一筆書きのような単純なアウトラインに「存在」の深淵を宿し、鑑賞者の無意識に静かに問いかける作品。
N&A ART for EXPO 2025 (5)

作 者:国松 希根太
エリア:コネクティングゾーン
場 所:トルコ館 東
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北海道大学雨龍研究林のミズナラ巨木を素材にした木彫作品。黒木調の深い表面と力強いフォルムによって、「ブラックホールなど時空を越えた場所との繋がり」を象徴。大阪・関西万博のコネクティングゾーン、ポップアップステージ北・空の広場に設置され、自然と時間の境界を意識させるパブリックアートとして展開されている。

作 者:奈良祐希
エリア:エンパワーリングゾーン
場 所:光の広場 アメリカ館の目の前(東)
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エンパワーリングゾーン東、光の広場に設置された奈良祐希の《Prayer Vessel》。能登半島地震の復興への祈りを込め、手を合わせる姿と地球を象徴する造形で陶と建築を融合させた。
作 者:ジュリアン・オピー
エリア:エンパワーリングゾーン
場 所:オーストリア館前
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ジュリアン・オピーによるLED両面ディスプレイ制作の“動く肖像画”、2014年作。最小限の線と色で人々の歩行やまばたきなどの微細な動きを描く、新ジャンルの視覚表現。都市空間に溶け込みつつ、人間の存在を象徴的に映し出す。

作 者:ジュン・T・ライ
エリア:東ゲートゾーン
場 所:NTT館 東
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多文化主義と蓮の象徴性を重ね、生命の鮮やかさを描き出す三つの花(希望/天空/生命)によるインスタレーションで、「生命の創造」「再生」のサイクル──俗と聖、汚れと純、死から再生──を表現し、色と形の協働によって多様性と再生の祝祭を描くアート。



作 者:名和晃平
エリア:東ゲートゾーン
場 所:東ゲート広場案内所 北
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東ゲート広場に設置された名和晃平のパブリックアート。新雪のように白く、ふっくらと輝く鹿をアルミニウムと塗装で表現し、神道における神の使いとしての神鹿を象徴しながら、地球温暖化による気候変動の先に訪れるかもしれない氷河期の未来を静かに見つめる存在として提示されている。
その他 (3)

作 者:REMA
エリア:フューチャーライフゾーン
場 所:未来の都市館とギャラリーWESTの間
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人魚という神秘、誘惑、不気味さ、終末的モチーフを通して現代のアイデンティティ、進化、そして社会的幻想を交錯させる新たな神話を紡ぐ作品。顔のない彫刻“LEM”は匿名性と社会が生み出す固定化されたイメージを反映しつつ、それらは常に変容し続けることを示唆。人魚が時代とともに姿を変えてきたように、私たちのアイデンティティも絶えず書き換えられていくと提示する彫刻。

作 者:中西保裕
エリア:フューチャーライフゾーン
場 所:未来の都市館とギャラリーWESTの間
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黒御影石による抽象彫刻で、鏡面仕上げの滑らかな曲面が周囲の景観や来場者を映し出す一方、中央には荒削りの穴が設けられ、水が強く引き込まれていくかのような圧と神秘を表現。時間、天候、季節によって表情を変える屋外設置の作品で、来場者を未知へと誘うミステリアスな存在。

作 者:Subfossil Oak s.r.o.
エリア:エンパワーリングゾーン
場 所:バーレーン館 右隣
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チェコ企業 Subfossil Oak s.r.o. が手がけるインスタレーション。約6,500年前に倒れ、酸素の乏しい湿地で保存された希少なオーク亜化石(「ボグオーク」)133本を展示し、各参加国に一本ずつ「献木」することで、人類文明の起源と自然との繋がりを象徴する「有機的な根系」として再現。史上最大規模の古代の森として、地球の共有の歴史と未来への責任を来場者に強く呼びかけるアートパブリック。
作成者: Hiromitsu Morimoto