
EXPO2025 サウジアラビアパビリオン/フォスター・アンド・パートナーズ
ノーマン・フォスター率いるFoster + Partners設計のサウジアラビア館。 伝統的な砂漠の集落をモチーフに、18棟の建物を縫うように中庭と路地を配置。日本館に次ぐ2番目の面積を誇る広い敷地で、来訪者はサウジの街を探訪するような体験を得られる。
建物の外装には、サウジ産の軽量ストーン・コンポジットを用いた解体再組立前提のパネルシステムを採用。パネルは亀裂状の不規則目地で構成され、砂岩で石垣を積み重ねたような姿を形成。 この上質なテクスチャを目にすると、サウジアラビア館への期待感が高まる。
前庭のサウジ原産の植栽は風除けとして機能する計画で、最新のCFD(数値流体力学)を採用し暑熱期でも路地に風が流れるよう質量配置を調整。会場西側の海風を考慮し、自然エネルギーを有効的に取り入れる。


前庭を抜けると、敷地のレベル差を吸収する単一スロープのエントランスが中庭へと導く。中庭は昼は静謐な滞留空間、夜はパフォーマンス会場へと転じ、そこから"村"を巡る路地に大小の開口が現れ、没入型展示へ誘う。 街を散策する途中に広場のストリートショーに出会うような体験が、異国を訪れたかのような臨場感を高い完成度で生み出している。





展示は「中庭+クリエイティブ・スタジオ(2室)+没入型ギャラリー(4室)」を核に、"街路を歩く"動線に沿って展開。自然・文化・都市の日常を横断するシークエンスを体験できる。
各国パビリオンでもおなじみのショップやコーヒースタンドも展示室を抜けた先の路地に並ぶ。来場者は最後まで散策気分を楽しむことができ、パビリオンを去るのが惜しくなる。


次回の大規模万博「2030年リヤド国際博覧会」に向け、積極的なプロモーションを展開するサウジアラビア。国力を印象づけるエンターテインメント性豊かな展示もさることながら、異国の街を歩くような没入感において群を抜いたパビリオンだった。
作成者: Hiromitsu Morimoto