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EXPO2025 ブルーオーシャン・ドーム/坂茂

BLUE OCEAN DOME - Shigeru Ban
BLUE OCEAN DOME 2025/Shigeru Ban EXPO2025
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3つの白いドームが目を引く「ブルーオーシャン・ドーム」。
設計者の坂茂氏は、紙管を用いた被災者のシェルターや、紙管と布を活用した避難所の間仕切り「ペーパー・パーテーション・システム」など、設置・撤去の容易な仕組みで人道的な支援を続ける建築家。

建築は3つの構造体の異なるドームで構成される。
半年後の解体・撤去を見据え、リサイクルを前提に「強くて軽い建築」を目指した。

ドームA「循環」: 竹ドーム
他の木材よりも成長が早く、効率よくCO2を循環させる竹を構造体とした。
竹は建材としては素材が不揃いな上、直射日光に弱く割れやすいという弱点がある。そこで竹の節を取り細かく割いたものを集成材にすることで、軽量で加工しやすい新しい構造材として提案。

籠目に組まれた竹の集成材がドーム全体に広がる。

ドームB「海洋」: CFRP(カーボンファイバー炭素繊維強化プラスチック)ドーム
高い強度と軽さを併せ持つCFRPを主構造に採用し、鉄材と組み合わせた。
構造体にCFRPを採用した建築は世界初となる。
鉄の1/5の重量でありながら同等の強度を持つ素材を採用し、基礎に杭を打設せず施工。撤去時の廃材を最小限に留める工夫がなされている。

直径10mの超高精細・半球体スクリーンに投影される、映像クリエイター集団・WOWの作品
CFRPと鉄の二層構造。黒いチューブ状のCFRP同士のジョイントは結束バンドを採用している。

ドームC「叡智」: 紙管ドーム
坂氏が被災地の仮設シェルターなどに活用する紙管が構造体。
紙や布を巻く芯材やダンボールと同じく古紙を主原料に用いて、構造材になる強度に高めた「強化紙管原紙」を採用した。
ドームCは閉幕後、モルディブのリゾートに移設される予定。

分子構造状に組まれた紙管と木製ボールジョイント。
紙管と木で制作された椅子

ブルーオーシャン・ドームは2019年、G20大阪サミットで発表された、海洋プラスチックごみによる追加的な汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向け、海洋資源の持続的活用と海洋生態系の保護をテーマとしたパビリオン。
パビリオン自身も展示や映像作品でテーマを伝える箱ではなく、環境配慮に特化した建築だった。

PAGE INFO
公開日: 2025/5/18 撮影: 2025/5 | 2025/4

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