EXPO2025 EARTH MART-小山薫堂/隈研吾
食といのちの循環を「買い物」という日常行為に重ねて提示するシグネチャーパビリオン「EARTH MART」。
設計は大成建設と隈研吾氏、プロデュースは小山薫堂氏。
建物は、大阪の淀川のヨシなど全国5産地から集められた茅を使った茅葺き屋根がブロック状に積層する。
隈研吾氏の既往作「まちの駅ゆすはら」でも用いた手法を応用し、会期後の解体・再資源化を容易にするディテール。屋根勾配は雨滞留を避ける意図で約45°、軒は最大で約5m跳ね出し、連続する小屋根の集積でルーフスケープを形成。産地ごとに色味が異なり、屋根面の表情の差として現れる。
段葺ブロックは鉄骨下地や野地の上に固定され、屋根ユニットを反復させて外周の軒下空間をつくる。
内部は、入口から市場の通路を思わせる一筆書きの動線で、人と自然、消費と生産の関係を体感的に読み解かせる。空間の核は茅葺と鉄骨のハイブリッド。
展示は、日本人が一生に食べる約28000個の卵を視覚化した巨大シャンデリアが来場者を迎え、世界の家庭の食卓比較や、「重さ」ではなく環境・社会的コストを映し出すはかりなど、展示は視覚と行為を通じて「いのちの重さ」を実感させる。後半はフードテックや保存・再現技術、再生米といった具体的な未来像を提示し、持続可能な食の実装へと視点を進める。
終盤では「EARTH FOODS」として日本の食の知恵を25点に凝縮し、感謝や分かち合いへと意識を着地させる構成。



EARTH MARTは「食」という最も身近なテーマを通じて「いのち」を考えるパビリオン。
茅の屋根の下で買い物の通路を進む体験が、消費と生産の循環を静かに映す。里山の循環を建築スケールに翻訳し、資材が再び社会へ戻る設計まで含め、日常の食卓に小さな選択の変化を促す。
作成者: Hiromitsu Morimoto

























































