細野ビルヂング

Hosono Building 1936 / Hosonogumi Historical Architecture
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竣工当時は白タイルの外壁に覆われたモダンな建物。
70年余りの時間の中で、目の前を走る路面電車が廃止され西長堀川が埋め立てられ長堀通りになっても、この地にずっと根を下ろす。

現在もアーティストのアトリエやギャラリーをはじめ、アパレル関係の展示会や劇団の公演などのイベントスペースにいたるまで、多岐にわたる用途に使用されている。

コマーシャルビルにおいての既存ストックの有効活用がテナント価値を高めるということだけならば、生駒ビルT4Bのようにサービスオフィスにリノベーションされた近代建築物も魅力的だが、賃料が高めのサービスオフィスに無名のクリエイターが入居することは難しい。
朽ち果てそうなビルに少しずつ手を加え”そのまま”を感じることの出来る細野ビルは、設備投資をおさえる事でバラエティ豊かなテナントが集まっている。
空室を解消することでテナント価値は一定以上確保されるし、様々な人々が集い、楽しむスペースを提供出来るようになった細野ビルヂングこそが魅力的な既存ストックを最大限に活用していると感じた。

建物は、外壁を飾るタイルがなくなってしまった事でやや無機質な倉庫のように映るが、おかげで建物の線やシルエットがはっきりと見て取れる。
最も趣深いのは屋内で、昭和のレトロビルの良さをいたるところで感じることが出来る。
「キーッ」と音の鳴る木製ドアや、タイル・塗装のはがれ、階段のきしみやたてつけの悪くなった鉄製の扉までもが、この空間を彩るアクセント。
内部にいると時間が止まったような感覚になり、都会の喧騒を忘れるほどの独特の雰囲気を醸し出していた。

味のあるサイン

ビル名を示す右横書きのプレートが時代を感じさせる

丸窓

総じて薄暗い屋内ではあるが、開口部から届くほどよい自然光が建物の雰囲気を高めている
PAGE INFO
公開日: 2009/2/18 撮影: 2009/2

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