船場ビルディング

大阪市の中心部、船場にあるテナントビル。
1925年(大正14年)の建設当時は従来の店舗や事務所とあわせ、地下スペースと1階がメゾネット方式の併用住宅をもっていた。

建物外観
特に主張のない見過ごしがちな外観からは想像もできないが、建物に一歩足を踏み入れエントランスを抜けると四層吹き抜けの中庭が広がり、あたりの喧騒が嘘のような別世界をつくり出している。
その印象的な中庭を囲む廊下の手すりや窓やドア、そして荷馬車を直接引き込ませるために敷かれた1階床の木レンガなど、竣工当時の姿を思い起こさせてくれる要素が至る所から感じられる。
ベンチと植栽の置かれた中庭はビル内にありながら路地のような雰囲気
1階に敷かれている木レンガ
現在では入居率も好調な船場ビルディングだが、20年ほど前までは中庭に荷物や自転車が置かれ自販機が並ぶ雑然とした状態だった。
バブル崩壊後には空室も目立ち、ゆくゆくは取り壊されようとしていたこのビルを、当時4階に入居していたE.M.I Projectの環境デザイナー、二見恵美子氏の働きかけにより改装。
通り沿い店舗のテントやドア、回廊に面した部屋の看板などの統一を図り、中庭には植栽やベンチを配置、屋上緑化も施した。
二見氏の取り組みにより船場ビルディングは竣工当時のモダンさを取り戻すだけではなく、中庭に緩やかに注ぐ光や風を感じられる豊かな空間へと生まれ変わった。
現在では建築・デザイン事務所やギャラリーなど多彩なテナントが入居して、ビルの魅力に色を添えている。
植栽が効果的に作用し光と風を豊かに感じられるパティオ
二見恵美子氏が手がけた空中庭園「AR COURT」は閉園したが、屋上緑化は今も施されている

4階廊下
界隈では、多くの価値ある建築がスクラップアンドビルドの下姿を消した。
船場ビルディングをはじめ、船場地区に残る歴史的建築物はそれぞれに大きな魅力を持っているが、その魅力を最大限に活かし賃貸収益をあげるというテナントビルとしての本分を果たすことが、この地区の歴史を後世に伝える建物としてふさわしいように感じた。
PAGE INFO
公開日: 2007/7/12 撮影: 2015/11 | 2007/3

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