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大阪市環境局 舞洲工場+舞洲スラッジセンター

Maishima Incineration Plant - Friedensreich Hundertwasser
Maishima Incineration Plant 2001 / Friedensreich Hundertwasser Contemporary Architecture
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人口島全体を緑で覆い、自然環境と共生することを目指した舞洲のシンボルとして、外装デザインを重視して建てられたゴミ処理施設。
五輪誘致を目指していた招致委員会の一員である大阪市が、ゴミ処理場をミュージアムに改築した「クンストハウス・ウィーン」や、ウィーン郊外の「シュピッテラウ焼却場」の改装を手がけたフンデルトヴァッサー氏にデザインを依頼した。
青い煙突の建物、舞洲スラッジセンターは、下水汚泥をブロックなど建築資材に転用する機能を持つ施設でこちらも同氏のデザイン。
手前の煙突が舞洲工場、奥の青い煙突がスラッジセンター
高層ビルや工業的な街並みを攻撃的であると考え、建築の合理主義を否定し続けていたフンデルトヴァッサー氏が、自然環境との調和を重視し、エコロジー技術と芸術の融和をテーマに建物をデザイン。
曲線や装飾を多用することで、自然界には存在しない直線的で均一化した要素を隠し、いたる所に植栽が施されている。
立ち上る炎をあらわした赤と黄のストライプや、500を超える窓(うち、8割弱は装飾)、大樹のような煙突など、今でもかなり独創的なデザインだが、初期案では、建物全体を樹木で覆ったり、煙突にある小部屋の装飾部を広げてレストランにするなどの構想があった。

高い建設費など批判の対象となることが多い建物ではあるが、当然ながら一般的なゴミ処理場と変わらぬ機能と設備を有しており、大阪府が受け入れた東日本大震災による災害廃棄物(がれき)の焼却も同施設で行われた。
また、廃棄物を燃やした際に得られるエネルギーを利用したタービン発電機により、工場内で使用される電力をまかない、余剰電力の売却により毎年数億円の収入を得ている。

舞洲工場エントランス
建物の側まで来ると、大阪湾岸の埋立地であることさえわからなくなってしまう

大樹のような煙突とカラフルな色使いの外観

階段の踏み面も平らではなく、ツタが生い茂る

フンデルトヴァッサー氏の代表作「フンデルトヴァッサーハウス」が高い評価を受けている一因は、ウィーンの歴史的な建物や新建築が軒を連ねる街並みに、緑を覆った独創的な建築がアクセントとしてそこに配置されたかのような印象を受けるからであり、まだまだ周辺に空き地が目立つ舞洲にあっては浮いた建築物といえる。
(CC) mightymightymatze (PB) MartinaSantoro 
1986年に竣工したウィーンの公共住宅「Hundertwasserhaus」
歴史ある街並みが良好に保全されているウィーン市街地のなかに建っている。

建築を画家としての大きなテーマと位置づけ、機能性を重視した建築の合理主義を否定し、自然と共に生きることを生涯にわたって訴え続けてきたフンデルトヴァッサー氏の思い描く建築の合理性が、舞洲工場の奇抜な外観に集約されている。
PAGE INFO
公開日: 2008/7/12 撮影: 2015/6 | 2013/8 | 2008/7

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