水都大阪2009や大阪ミュージアム構想など、文化的な取り組みやイベントが盛んになってきた大阪だが、その反面、歴史的価値のある建築物が姿を消しつつある。
取り壊しを間近に控えるダイビルなど、大きな節目を迎えている大阪の建築物をまとめた。（2009年4月時点）

■ダイビル本館・新館→中之島ダイビル ウェスト
計画：建て替え
現状：隣接する中之島ダイビルが竣工・随時テナントの移転作業へ
着工：2010年　竣工予定：2012年
中之島を代表する大規模近代建築物もあと一年余りで取り壊される。
大口テナントである商船三井（MOL）が7月以降移転することもあり、すでに風前の灯。

ダイビル解体工事日程決定。中之島ダイビルウエスト低層部に外観を”復元”

■新ダイビル→新・新ダイビル（仮称）
計画：建て替え
現状：テナントの移転中
着工：2010年　竣工予定：2012年
村野藤吾氏設計のオフィスビル。
羊のオブジェや40年以上前から整備された見事な屋上庭園は保存・再生されるのだろうか。

■大阪なんば新歌舞伎座
計画：建て替え（新歌舞伎座は移転）
現状：営業中
着工：2010年？　竣工予定：
村野藤吾氏設計。
寄棟の大屋根と連続する唐破風のひさしの組み合わせがダイナミック。2010年夏頃には阿倍野に移転するためその後解体される模様。


■大阪中央郵便局→アクティ西ビル+大弘ビルを含めた複合施設に再開発
計画：建て替え（一部保存）
現状：2009年5月にほぼ全ての機能が大阪駅前第一ビルに移転予定
着工：2009年予定　竣工予定：2012年予定
新ビルの吹き抜け部分に一部を移築・保存する予定。
東京中央郵便局の騒動を受け、文化庁と見直し協議も行われるという事で不透明な要素もあるが、このままの姿を残すことはありえないだろう。

■イトーキクレビオ船場ビル→？
計画：
現状：ほぼ解体済
竣工予定：
北浜にひっそり建つ近代建築も今年に入り解体・4月にはほぼ工事も完了している模様。


■新朝日ビル・フェスティバルホール→中之島フェスティバルタワー（仮称）
計画：建て替え（フェスティバルホールの信楽焼きレリーフ等一部保存）
現状：解体工事中
竣工予定：2013年
四ツ橋筋をはさんだ向かいの 大阪朝日ビルと朝日新聞ビルも取り壊され、2010年代後半には肥後橋にツインタワーが完成する。

朝日新聞大阪本社ビル+大阪朝日ビル

　

■近鉄百貨店阿部野橋店本店→近鉄阿部野橋駅ターミナルタワー館（仮称）
計画：建て替え
現状：閉館中
竣工予定：2014年（平成26年）春頃
村野藤吾氏設計の繊細な装飾が印象的だった天王寺の近鉄百貨店もシーザー・ペリ設計による、高さ310ｍの日本一の高層複合ビルディングに建て替えられる予定。
2011年解体予定の、千里南センタービルと千里市民センターもあわせ村野作品はバブル期並みの取り壊され様。


■旧府立産業技術総合研究所（旧江之子島庁舎跡地）→江之子島地区まちづくりプロジェクト
計画：タワーマンションへ建て替え
現状：解体工事中（一部保存作業中）　竣工予定：
大正時代に大阪府庁のあった阿波座・江之子島の一角。しばらく手付かずであった敷地がコンペの結果、長谷工コーポレーションが当選。地上56階建ての高層タワーマンションをはじめ大規模な再開発が計画されている。
敷地南西の旧館だけは売却対象から外れており、保存改修を経て、府立現代美術センターの機能を移転したアートセンターとして活用。

などなど、ほとんどの建物は解体、良くても一部保存という現状。
先日竣工した中之島ダイビルに、ダイビル本館と同じような大国貞蔵の正面玄関のレリーフや柱の彫刻などが施されているのを見る限り、一部保存さえ難しい状況だ。


90年代、土佐堀通りにある北浜レトロの隣には、西田三郎商店・広田商事と3軒の近代建築物が並んでいた。
現存していれば”土佐堀レトロ・ストリート”として重要な観光資源になっていてもおかしくなかっただけに、大阪ミュージアム構想や水都大阪2009などをひかえ、近代建築が失われ新たな施設や再開発に注目が高まるのも寂しい。





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